社会保険労務士(社労士)とは

社会保険労務士と社労士と労務士

 「社会保険労務士」が正式な資格名称です。名称が長いため、「社労士」という略称が使われることが多くなっています。「労務士」という略称を使われる方もいらっしゃいます。なお、「労務管理士」という名称の民間資格があるようですが、国家資格である「社会保険労務士」とは全く関係はありませんのでご注意下さい。

特定社会保険労務士(特定社労士)とは

 社会保険労務士のうち、厚生労働大臣が定める研修を修了し、紛争解決手続代理業務試験に合格後に、その旨を連合会に備える社会保険労務士名簿に付記した者を「特定社会保険労務士」といい、しばしば「特定社労士」という略称が使われています。
 特定社会保険労務士は、通常の社会保険労務士の業務に加えて、ADR(裁判外紛争解決手続)における代理業務をすることができ、トラブルの当事者双方の主張を聴くなどしながら、労務管理の専門家としての知見を活かして、個別労働関係紛争を「あっせん」という手続きにより、簡易、迅速、低廉に解決することが期待されています。

社会保険労務士制度

 社会保険労務士制度は、企業の需要に応え、労働社会保険関係の法令に精通し、適切な労務管理その他労働社会保険に関する指導を行なう専門家の国家資格制度です。
 社会保険労務士法に基づき、毎年一回、厚生労働大臣が実施する社会保険労務士試験に合格し、かつ、所定の要件を満たした者で、全国社会保険労務士会連合会に備える社会保険労務士名簿に登録された者を社会保険労務士と言います。
 社会保険労務士が扱う業務は次に掲げる①~⑧に分類できますが、それらのうち①~⑥の業務は、法律により社会保険労務士(③~⑤の業務については特定社会保険労務士)以外の者が報酬を得て業を行なってはならないとされ、罰則が設けられています。

①労働社会保険諸法令に基づいて行政機関等に提出する申請書、届出書、報告書、審査請求書、異議申立書、再審査請求書その他の書類の作成及び提出(電磁的記録を含む)。

②①の事項について又はそれらの申請等に係る行政機関等の調査若しくは処分に関し、当該行政機関に対してする主張若しくは陳述について、代理すること(事務代理)。

③個別労働関係紛争解決促進法の紛争調整委員会におけるあつせんの手続並びに障害者雇用促進法、男女雇用機会均等法、労働者派遣法、育児・介護休業法及びパートタイム労働法の調停の手続について、紛争の当事者を代理すること。

④地方自治法に基づく都道府県知事の委任を受けて都道府県労働委員会が行う個別労働関係紛争に関するあつせんの手続について、紛争の当事者を代理すること。

⑤個別労働関係紛争(紛争の目的の価額が百二十万円を超える場合には、弁護士が同一の依頼者から受任しているものに限る。)に関する民間紛争解決手続であって、個別労働関係紛争の民間紛争解決手続の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として厚生労働大臣が指定するものが行うものについて、紛争の当事者を代理すること。

⑥労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成(電磁的記録を含む)。

⑦事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること。

⑧事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすること。

 国家資格者である社会保険労務士は、社会保険労務士名簿に登録され社会保険労務士証票及び都道府県社会保険労務士会会員証など身分を証明するものを所持しています(社会保険労務士法第14条の6など)。

広範囲にわたる社会保険労務士の業務

 社会保険労務士は労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に携わるとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを使命とされています(社会保険労務士法第1条)。労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律、健康保険法、国民年金法、厚生年金保険法を始め、社会保険労務士の取り扱う法律は50を超えて、非常に広範囲にわたっています。

例えば・・・

労働保険・社会保険の書類作成、諸手続

 年度更新・算定の業務、労働社会保険の加入・脱退、 各種給付金の請求、帳票書類の作成、さまざまな手続きを迅速かつ的確に行い、企業の事務負担を軽減します。アウトソーシングによって本業に専念していただけます。

公的年金・社会保険の相談と請求

 健康保険、厚生年金保険、労働者災害補償保険、雇用保険などの、公的年金・社会保険について相談に応じます。適切な事務処理についてアドバイスし、各種書類を依頼人に代わって作成・提出いたします。
 公的年金・社会保険保険はもちろん、民間の生命保険、損害保険、個人年金等までを含めて、公正かつ総合的な観点から、リスクマネジメントやファイナンシャルプラン等のご相談に応じます。

人事労務管理

 就業規則の作成、雇用問題の改善、労働時間短縮等のアドバイスを行います。
 人事・労務管理全般についてのコンサルタントとして、ヒトの問題の解決・予防はもちろん、従業員の意欲を高めるなど、企業のご発展を支えます。

労働安全衛生管理

 労働安全衛生法に沿った安全対策・衛生管理等のアドバイスを行う等、労働災害の防止、会社や従業員の安全衛生の確保向上を図ります。

経営の円滑化

法令改正、労務管理や助成金に関する専門的情報を提供するなど、経営の円滑化を図ります。

労働関係のトラブル対応

 個別労働関係紛争の事前防止や解決、紛争調整委員会におけるあっせん代理を行います。

社会保険労務士の守秘義務

 社会保険労務士が業務に関して知り得た秘密には、法律で守秘義務が課されています ( 社会保険労務士法第21条)。

(秘密を守る義務)
社会保険労務士法第21条
 開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員は、正当な理由がなくて、その業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員でなくなった後においても、また同様とする。